実施日 2025年9月3日~4日
参加者:TN、YN(雪稜)、AN(山友)、MT(山友)
2025年9月3日 晴れ 9月4日 薄曇り
門桁ゲート 5:57 千石平 5:32
7:34 P933 5:48 鋸山
8:20 画栃山(1137) 6:17 房小山分岐
9:36 イロウ山(1301) 6:49 都沢山
11:51 三本栃山(1534) 7:09 三本栃山
12:23 都沢山(1532) 8:27 イロウ山
13:02 房小山分岐 9:17 画栃山
13:40 鋸山(1668) 9:47 P933
14:08 千石平~千石沢取 15:16 11:00 門桁ゲート
16:34 千石平
昨年2度企画して2回とも撤退・中止になった県連CSSの深南部企画ですが、今回3度目の正直でようやく実現しました。
ただし、元々は麻布山~バラ谷ノ頭~黒法師岳~丸盆岳往復2泊の計画でしたが、今回は前泊+山中1泊にルート短縮して、門桁(かどげた)ゲート~鋸山・千石平往復としました。
千石平は1kmほども続く、笹原の別天地です。
このところずっと晴れが続いていたのに、予定の期間だけ天気予報が思わしくなく、しかも南の低気圧の勢力次第で流入する湿気の影響 が変わるため、予報が刻々揺れ動きます。
出発の前日まで天気予報とにらみ合いを続け、メイン日は何とか天気が持ちそうなこと、下山日も大荒れにはなりそうにないことから、予定通り決行することになりました。
前日に登山口のある門桁に入り、前泊したのですが、山中とはいえ標高600mぐらいしかなく、猛暑日のこの日は日没後もなかなか涼しくなりません。
初日はなるべく時間にゆとりを持たせようということで、少し時間を前倒しして6時頃に出発しました。
深南部でもおそらく最も厳重だと思われるゲートの穴をくぐり抜け、異世界に入ります。
気田川(けたがわ)の沢音がいつもより大人しい気がします。
このルートは最初のP933までの登りが急で、歩き始めということもあり、一番体にきつい区間です。
Tさんを先頭に登り始めたのですが、調子がよくなさそうなので、しばらく休憩を取り、みんなでいくらか荷物を分担して、様子を見ながら駄目なら途中で引き返すつもりで進みました。
急騰が終われば、ルート上には赤テープもコンスタントに付けられていて、深南部としては歩きやすいルートだと思います。
画栃山(えどちやま)辺りからは、しばらく右側が植林、左側が雑木林となる境界を歩いて行くことになります。
北側に開けた所からは、最初の計画で歩くはずだった、ガレを抱えた麻布山と前黒法師山が、2つのコブのように見えました。
イロウ山(漢字を知らなかったのですが伊老山と書くようです)は素晴らしいヒメシャラの林で、光の当たるその幹の色が明るい林の風景をさらに明るくしていました。
ピークは地形図にある1301最高点付近だと思いますが、山頂標はそれより100mぐらい先に設置されていました。
三本栃山まで来れば、もう4分の3ぐらいは歩いたことになります。
次の都沢山(みやこざわやま)までは標高差もほとんど無く、ほんの目と鼻の先の印象です。
ただ、ソロで来た時はあまり感じなかったのですが、画栃山以降は傾斜が緩やかな分、結構長いルートだなという印象を持ちました。
それほど展望の得られるルートでもありませんが、登るにつれて植林帯から雑木林へと変わり、モミ、ツガなどの針葉樹にヒメシャラ、オオイタヤメイゲツ、さらにミズナラやブナ、時々ホウノキやオオカメノキ、サクラ、ナナカマドなども加わって雰囲気もよくなり、天然の庭園のような趣が深くなってくる様子を肌で感じられるのは、この長い尾根を歩く大きな魅力でしょう。
鋸山へのヤセ尾根は途中でモミかトウヒの大木がルートを塞いでいる所があり、ロープが掛かっていましたが、幹の下の方に手掛かりがあり、ロープに頼らなくても通過できました。
少し厄介なのは登り返しのズルズル滑る急斜面のロープ場で、雨の時の下りは気を使いそうですが、翌日復路で見てみると、もっと下りやすい踏み跡が別に付けられていました。
遠くからは文字通りギザギザに見える鋸山は、1668標高点のある最初のピークの他に、3つ目のピークにも幾分地味な山頂標が取り付けてありました。
千石平に到着後、Tさんに荷物を頼んで残りの3人で千石沢に水汲みに行きました。
ところがこれが大変な難行で、渇水で谷がカラカラに干上がっており、千石沢ノコルから200m近くもガレ谷を下り、廃道の林道南赤石線の直近でやっと水を取ることができました。
結局水汲みだけで2時間以上かかったことになります。
ここまで苦労するとは思わなかったので、空身で来たのですが、ただの水汲みでもアタック装備ぐらいは持ってくるべきだったと思いました。
夜、テントでラジオの天気予報を聞いていると、台風が発生して九州方面に影響が出てきているとのこと。
昼からは雨の予報だったので、日の出と共に出発して午前中に下山してしまおうということになりました。
前日ゆっくり千石平の探索ができず、残念だったので、少し奥までみんなで様子を見に行ってから予定通り5時半に幕営地を後にし、鋸山に向かいました。
房小山・門桁分岐の手前で、Tさんが東の方を指して「富士山だ」と言います。
そちらを見てみると、笠雲がかかってはいますが、たしかに富士山です。
前の失敗山行ではついに最後まで見ることができなかったので、宿題を片付けられた気分です。
少し前のクマの爪痕や、まだ新しい糞らしきものも目にしましたが、鉢合わせのトラブルも無く、順調にイロウ山手前まで戻って来ました。
少し悔やまれるのは、最後の方になって、Nさんが撥ねた木の枝で目を傷付けてしまったことです。
早く回復するといいのですが……
ちょうど11時頃ゲートを通り抜けて出発点に戻り、荷物をまとめて車を走らせると、しばらくして雨が落ちてきました。
報告者は、深南部はほとんど全てソロで歩いていて、スムーズに行程をこなすということだけ考えるなら、正直なところソロの方が効率的かもしれません。
しかし、お互いを気遣い、協力し合いながら最後まで一緒に歩くのが、パーティ山行のよさを感じるところです。
いいチームだったと思います。
〈参加者感想〉
初めての深南部は、淡い緑と優しい雰囲気にずっと包まれているような感覚になる素敵な場所でした。
特にヒメシャラの滑らかな木肌と色、その美しさが樹林帯全体に柔らかな印象を与えていて、とても心地よい空間でした。
初め急登の画栃山からなだらかな伊老山、三本栃山を経て都沢山、さらに鋸山の細い尾根道や千石平の笹原まで、変化に富んだ山歩きをたっぷり楽しめました。
ただ、昨今の気候変動で沢が渇水して、想定していた水場が必ずしも近くにあるとは限らないため、水汲みには最低限の飲料水に加え、雨具とヘッドランプは必携だと感じました。
何より、自分に必要な装備を背負い、この距離と行程を歩き切れたことが、少々の自信と収穫になりました。
テントの設営やバーナーの使用など、多くの場面でサポートしていただき、本当にありがとうございました。
皆さんのおかげで、大変思い出深い山行となりました。(AN)
猛暑日が続く中で行われた深南部の山行、暑さでバテるのではないかとか、ヒルやダニが出てきて嚙まれるのではないかなど心配しながらの山行でしたが、そんな心配も不要で、良い天気の美しい樹林帯の中を気持ちよく歩くことができました。(もっとも最初の急登で半分あきらめかけたところ、皆さんに荷物を持ってもらって何とか乗り切れたのでしたが・・・ありがとうございました。)
さすが深南部、巨大なもみの木やブナの木、ヒメシャラの木などが目を楽しませてくれ、ピークを超えるごとに山の雰囲気が移り変わるところも面白いと感じました。
県境尾根に登る急登はきつかったですが、登りきるとそこは笹原と痩せ尾根の稜線歩き。
千石平までそのような登山道が続き、広大な笹原の千石平も今まで見たことがないような絶景でした。
他のメンバーでかなり下の沢まで水汲みに行ってもらい、一人で荷物番をしていましたが、時勢柄クマが現れないかびくびくしながら大声を出していました。
雲が厚くなってきてゴロゴロと雷鳴が聞こえてきましたが、2時間ほどして皆が戻ってきてホッとしました。
ここでも皆さんにお世話になり本当にありがとうございました。
深南部の初心者向けのコースということでしたが、深い山々の景色や植生の変化、気持ちよい風など印象に残る山行でした。(MT)
十分な休憩を取りながら歩いたので、千石平まで無理なく到着できた。
水汲みは予定していた水場が枯れており、かなり下り、大変だった。
下から水を担いで上がったほうがよかったという声もあったが、すでに2ℓ担いでいたので、これ以上は担ぐのは無理のように思われた。
水と水場のありがたみを感じた。
下山時、念願叶って富士山が見えた。
富士山があまりにも近く驚いた。
機会があるなら房小山へも行きフサコに会ってみたい。
今回、右目を打撲してしましった。
今後は怪我をしないようしたい。(YN)